PayPayの手数料率2%では日本にイノベーションはおきない
決済手数料が無料にならないと、なぜイノベーションが起こらないのかという事を記載していきます。
以前の記事にスマホ決済は決済手数料無料にする事が重要という記事を記載しました。
その内容は手数料が高いことで、イノベーションができないという内容の記事を書きました。
今回は決済手数料が無料にしないといけない他の理由を記載していこうかと思います。
- 決済手数料が無料にならないと普及しない
- シェアリングエコノミーは期待はずれに終わっている
- 20年くらい前に出したアイデアが未だに実現できない現実
- 手数料2%だと普及しない
- GAFAMの手が伸びてくる
- システム設計でできる限りコストを抑える
- サービス設計で手数料無料でも収益を作る
- ディスラプトする対象はクレカではなく現金
- メルカリアッテの例を挙げると
- キッズラインの事件の例の場合
- 他のサービスはもっと高い
決済手数料が無料にならないと普及しない
- 現金以上の利用総額にはならないという事はクレジットカード、Alipayぐらいの利用総額に到底及ばない
- 利用総額が少なければその取引データも価値を見出せない
という事になります。
仮に取引の9割以上を占める利用総額になれば、以下の3つのような社会の進歩発展に貢献できるのではと思います。
信用スコアを確立できる
シェアリングエコノミーやCtoCなどのユーザー同士で取引が行われるサービスにおいて、サービス提供者と購入者の過去の取引と評価が分かれば取引の成立する数は増えるかと思います。
今の日本では決済プラットフォームがないため、UberならUberのサービスの中だけの、AirBnBならAirBnBのサービスの中だけの過去の取引と評価しか出しようがありません
そこで、決済プラットフォームがあれば、そのCtoCサービス自体を使うのが初めてでも相手側のユーザーの取引や口コミを参照して信用度合いを確認する事ができます。
口コミの精度を上げられる
今でも口コミサービスはありますが、取引があろうがなかろうが、口コミを投稿できるサービスが多いかと思います。
決済プラットフォームの口コミは決済したという確実な証拠があるため、決済後にのみ口コミを投稿できるというように仕組み化ができます。
そうすれば、意図的に悪い評価を付けたいライバル業者などからの悪質な口コミも防ぐ事ができます。
利用ユーザー数、利用回数が増えれば増えるほど口コミのデータ量が大きくなり精度も高くなります。
他に決済プラットフォーム以外ではサービス提供者の評価を低くできない圧力があります
楽天やAmazonのような巨大なECサイトでも悪い口コミや低い評価が表に出にくい仕組みになる理由があります。
例えばある物販会社の低い評価が書かれたら、ECサイトからすればいちクライアントになるため、その悪い評価を表に出してしまえば、そのクライアントが離れてしまう事を助長してしまいます。
クライアントが離れてしまうとEC事業者からすれば大きな痛手になってしまいます。
決済プラットフォームが一つのサービスだけでなく、あらゆるサービスの取引をカバーできるのであれば、クライアントの数も膨大になるため、多少のクライアントが離れる事に対しての痛手も少なくなります。
広告プロバイダーになれる
オフラインも含めての取引のデータを取得できるようになるとネットショッピング以外のデータも取得できるので、より精度の高い広告が提供できます。
現状ではアクセスしたサイトの広告をDSPで出すぐらいのネットの行動履歴でしか提供ができません。
しかし、店舗でのオフラインでの取引情報が取得できればネット以外の動きの情報が取得できるので、地理情報などのより多様で細かい広告の出稿が可能になります。
利用総額が増えて決済のプラットフォームになればこういった3つの社会的な効果が期待できるのではと思います。
シェアリングエコノミーは期待はずれに終わっている
しかし、スマホ決済がプラットフォームになりきれていないので、イノベーションが起きずシェアリングエコノミーなども鳴かず飛ばずになってしまっています。
ボトルネックは相手側の信頼の問題でやはり訳のわからない人からの取引はしたくないというのが多くのユーザーの気持ちかと思います。
サービス提供者としては99%の善良な取引者がいても1%の悪意を持ったユーザーがいるとその対策費用で利益が上がらないという実情があります。
少しのコスパを考えてシェアリングエコノミーのサービスを受けれてもトラブルには巻き込まれたく無いという心理が働いて多くのユーザーがサービスに手をつけれずにいるのではと思います。
20年くらい前に出したアイデアが未だに実現できない現実
学生時代に駐車場での自転車のシェアリングサービスという案を出した事があります。
当時はシェアリングエコノミーという言葉はなかったですが、今で言うとシェアリングエコノミーとかの分類だと思います。
- 駅の駐輪場で自転車を貸す人が自転車を駐輪
- 後に自転車を借りる人がその駐輪場に置いてある自転車を教えてもらった暗号でロックを外し使用
- 貸した人が帰ってくる前に同じ駐輪場に借りた自転車を返す
といったような流れです。
貸してお金が欲しい人、お金を払って駐輪場から自転車を利用したい人は多いと思ったのでこういったサービスがあれば便利だなと20年くらい前にアイデアコンクールに出したくらいです。
今でもそういったサービスがあれば便利だと思うのですが、いまだにそういったサービスは存在していないです。
存在していない理由はいくつかあります。
- 貸し借りのタイミングの時間の指定などでやりとりが面倒
- 時間通りに返せない可能性がある
- 自転車がパンクするなどのトラブルの可能性がある
といった事がなかなか流行らない理由かと思います。
さらには素行の悪いユーザーがいた場合、自転車をどこかに放置して音信不通という事もありえそうです。
そうなるとユーザーを審査する対応が必要となり、審査のためのコストがかかってきます。
コストがかかるので、一回あたりの手数料が1500円ぐらいか10%ぐらい少なくとも取らないと利益にならないという事になります。
そうなってくると、借りる人も自分で自転車を買ってその駐輪場に月額3000円くらいで駐輪した方が楽って事になります。
ましてや女性ユーザーの立場とかで貸し借りの相手が見ず知らずの男性になると避けたくなるという事もあるかと思います。
こういったシェアリングサービスのようなCtoCのビジネスではお互い知らない人同士で信頼関係がないまま取引する前提になるためリスクが大きくなります。
これらのデメリットがメリットを上回っているため自転車のシェアサービスが流行らないのではと思います。
こういうデメリットを是正するために、会ったこともない人同士に対しても信頼できるかどうかの度合いがわかる信用スコアが必要という事になります。
既にUSのクレジットカードや中国のAliPayなどは既にそういった信用スコアの運用がされています。
PayPayも同じように決済プラットフォームになれば取引データを元に各ユーザーの信用スコアでの運用が可能になります。
しかし、そうはならないという事を認めざるを得ない事実があります。
手数料2%だと普及しない
PayPayの手数料が2%で高いので辞めますという投稿で、ほとんどのTwitterユーザーがPayPayは悪くない。加盟店は2%ぐらい払うべきだ的な主張でした。
https://twitter.com/komikoma/status/1673822086945714176
そこで小松が「手数料2%は高い。サービス設計、システム設計のミス」と返信しても誰も賛同するユーザーはいなかったです。
残念ながらこの決済手数料の2%が高いことに対してのヤバさが誰も気づいていないというのがさらにヤバいと思いました。
そう思ったのでなぜ手数料を無料にする必要があるのかを今回記事にしたきっかけでもあります。
以前にも記事にしたように決済手数料が数パーセントとなると無料の現金決済にしてアルバイトのスタッフを雇ったほうが安いことになります。
そうなる事で、結局利益率の低い加盟店は現金を選ばざるを得ない事になります。
ユーザーからしても決済のポイント還元率が0.5%になってしまい1.0%の楽天カード、1.5%の楽天Payの還元率の方が高いので、PayPayを使うメリットがなくなりました。
結果、あれだけ派手にキャンペーンや広告をうってきたPayPayもそこまで普及しないサービスが確実となりました。
加盟店は現金を選択して、ユーザーはクレジットカードを選択する事が経済合理性にかなっているのでこれ以上PayPayが普及するわけないです。
ましてやビジネスの根幹となるような決済プラットフォームにはなり得ないかと思います。
GAFAMの手が伸びてくる
スマホ決済の分野はまだ、GAFAMの手が及ぶまでには至ってないです。
Google Pay, Apple Payなどのサービスはありますが、まだ普及というまでには至ってないです。
しかしながら、このままの状態で放置してたらGAFAMが決済という重要な市場も独占される事になる事も時間の問題なのではと思います。
決済市場のシェアを日本企業が取るようになれば、広告分野などでもGAFAMに対して巻き返しが可能だと思っていますが、それもこの手数料2%という事で夢のまた夢になってしまいました。
決済市場はあらゆるビジネスの根幹サービスになるので、そこがGAFAMに奪われてしまえば全てのスタートアップ企業のサービスや新規事業はGAFAMの影響下に置かれることになります。
今でもクレジットカードでUSに依存しているので、同じ事と考えがちかもしれないですが、口コミ、取引データがネット上で取得できるので影響力はクレジットカードとは比べものにならないかと思います。
システム設計でできる限りコストを抑える
どうすれば手数料無料が可能かを考えてみます。
システム設計については求人票を見ればどういうシステムかがわかります。
- インフラはGCPを利用
- バッグオフィスはセールスフォースを利用
- 分析はBigQueryを利用
などなど、高額なSaaSのオンパレードです。
加えて、多様性でカッコつけてるのかどうかわからないですが、外国人を多く採用しています。
日本人は英語話せないといけないみたいです。
フルリモートで、スーパーフレックスで給料も高いです。
従業員からすれば、とてもいい会社なのですが、このシステム設計、組織体制では決済手数料を取らないと採算が合わなくなるのは当然かと思います。
なるべく早くサービスを立ち上げるという事であればこのシステム設計でもいいのですが、長期的な運用コストの面ではかなり高額になります。
決済のプラットフォームを狙うのであれば一円でも運用コストを下げる仕組みにしなければいけないかと思います。
サービス設計で手数料無料でも収益を作る
決済時に広告を表示
決済時に広告を表示すれば多くのユーザーのPVを獲得できるので広告としては大きくなるかと思います。
レジ待ちなどでどうせ並ぶ事が多いので、その間にバーコードの表示の時間に広告を見せる事ができるのではと思います。
今でもスマホ決済の時にバーコードを更新する時に少し待たないといけないので、決済前にアプリを開いておくべき事に変わりはないかと思います。
決済時に広告表示が嫌なユーザーは月額、年額の費用を支払えば広告を見なくてもいいというスキームでもいいかと思います。
他人のユーザーの取引データを参照できるサービス
CtoCのサービスなどではじめて取引する相手がまともなユーザーなのかどうか確認したい時が出てくるかと思います。
信用スコアの数字だけでなく、過去の取引の金額、口コミの投稿の内容、投稿された内容なども見れば人となりがもっとわかるかと思います。
他人のユーザーの過去の取引閲覧時は支払わないと情報が見れないというスキームでいいかと思います。
公開するデータは決済日時、支払い金額、公開用のユーザーIDとかになるかと思います。
他人の取引情報を公開するという事になるので、利用店やユーザーの名前を公開はできないかと思います。
「東京新宿駅東口店 ローソン」などの情報が公開されたら、どこでどのような買い物をしているかがよりわかってしまうため有名人のプライバシー侵害やストーカーを助長してしまうのではと思います。
口コミの評価は何もなければ3段階の普通。期待以上の場合はGoodで期待以下であればBadにして口コミのテキストは任意とかでいいかと思います。
そうする事で業者に雇われて悪口ばかりを書きまくると、そのユーザーが悪口を書きまくっている事がわかるので悪質な口コミを防げるのではと思います。
広告プロバイダーとして取引データを提供
取引データではあくまで利用店名までのデータしか取得できないです。
「東京新宿駅東口店 ローソン」はわかるけども、ローソンで何を買ったのかまではわからないです。
それでも「東京都新宿東口」という所までの地域のデータの取得が可能なので、それを利用して広告主にデータを提供できるかと思います。
何より、決済時に広告を表示させる事でメディアとしても強力になるため、その地盤で広告主を呼び寄せる大きなアピールかと思います。
広告主が増えればadsenseのようにメディアに対してもプロバイダーとして提供できるかと思います。
APIを有料で企業に提供
各CtoCサービス、シェアリングサービスで信用スコアや過去の取引データを利用したい企業は多いかと思います。
利用したい企業の審査をしてAPIを有料にすれば、利用店名、ユーザー名を共有する事は可能かと思います。
補償制度をなくす
これが一番大きいのではないかと思います。
PayPay, LinePay, MerPayなどどのサービスもクレジットカードのサービスの延長線上で考えているので、補償などのサービスがついてしまいます。
そもそもなぜ補償があるのかと何の補償なのかですが、補償の内容は返金の補償です。
クレジットカードの場合はそのカードの情報が盗まれたらカードが手元になくても情報だけでショッピングが出来てしまうという恐ろしいビジネスモデルです。
気づいたら、勝手に誰かに買い物をされてしまっているという可能性が十分あります。
クレカ会社はクレカ使用者を守る補償があり、不正に買われてしまった買い物に関しては返金するというスキームがあります。
クレカのビジネスモデルには決定的なセキュリティホールがあるので、その穴を補償でカバーするというビジネスモデルです。
20年以上も前に使いはじめた頃も番号、年月日、セキュリティコードを入力するだけでそれ以外の認証も何もなしで買い物が出来る事に疑問を当時から抱いていたのですが、周りも何一つ疑問を持っていなかったことを思い出します。
それに対して、スマホ決済は認証を通ったアプリやページにバーコードを発行しているので不正に第三者が買い物できる可能性は極めて低いです。
なので、クレカと同じようなビジネスモデルの返金補償などは必要ないです。
買った商品が壊れてたというトラブルの時もクレカでは返金がされるという事になっています。
スマホ決済の場合で買った商品が壊れてたなどの場合は返金補償を設けず、口コミで評価を下げるという風にすればいいかと思います。
そうでないとクレカのビジネスモデルではあまりにも加盟店に分が悪いです。
例えば、お菓子を買ってほとんど食べて、お菓子の中に虫が入ってたと言いがかりをつけても返金しないといけないです。
そうでもしない限り、ぼったくり業者みたいな加盟店が現れてくるからという理由なのではと思います。
しかし、スマホ決済では決済時に値段を確認できる仕組みがあります。
加えて、不正をしようにもパスワードなどのアプリの認証をどうにかして盗まないといけないです。
認証が盗まれる事が可能なのであればあらゆるECサイトで既に第三者にログインされているという事なので、不正な買い物は不可能と言ってもいいぐらいです。
スマホ自体を盗まれたり、落とした場合は、スマホ決済事業者に電話して止めてもらうなどの対処が可能です。
ディスラプトする対象はクレカではなく現金
これらのサービス設計ではクレジットカードと比べた場合、格段とユーザー体験は悪くなります。
しかし現金と比べてみて、わざわざ現金をATMでおろしに行くことを考えればまだ便利かと思います。
今現時点でスマホ決済は決済時にバーコードを発行する待ち時間が発生してしまうため、既にクレカと比べれば不便です。
そもそもディスラプトの対象を現金にするべきであって、クレジットカードにすべきではないと思います。
経済産業省の調べでは、クレカを含めたキャッシュレス決済は40%にも満たないという結果になっています。
2022年のキャッシュレス決済比率を算出しました (METI/経済産業省)
現金の割合が60%以上なので対象の利用額も大きければ、ユーザー体験でも優位に立てます。
それなのになぜか、セキュリティホールがあるクレカの延長線上のビジネスモデルに設定しています。
クレカのビジネスモデルは加盟店にとって不利なので、スマホ決済は加盟店側に吹っ切って加盟店に有利なサービスにしなければ普及しないかと思います。
加盟店の審査はユーザーの審査も含めて電話番号のSMS認証とマイナンバーカードで審査するだけでいいかと思います。
そうすることで加盟店側としては手数料無料なので、導入して損はないということで加盟店は増えるのではと思います。
メルカリなどはそう言ったCtoCの審査が得意なはずなので、クレカの延長ではないサービスをMerpayでできると思ったのですが、今現時点では手数料2.6%のクレカの延長に留まっています。
本人確認のみして、各決済は当事者間に任せるという事でいいかと思います。
トラブルや問題になった場合は口コミに記載すればそれが信用を左右する重要なデータになるかと思います。
メルカリアッテの例を挙げると
メルカリのように宅配で物を送るのは送料がかかってしまうので、近所の人であれば直接手渡しで物々交換できるサービスです。
このページでもあるように数年前にサービスを立ち上げ、すぐにサービスが終了しています。
原因は直接取引する物々交換のサービスのはずが出会い系の延長線上みたいになってしまって無法地帯化してしまったという事
ユーザーの情報は他のサービスと連携していないので、初めて使うときはこのサービスでユーザー同士がどういった人なのかがわからないです。
このサービスでの素行が悪くてもアカウントを消してしまえばって心理になってもおかしくないです。
似たようなサービスにジモティーもありますが、商品の取引だけでなく地元のコミュニティーや求人の募集もやってるサービスです。
会員登録の審査に力を入れている分コストがかかってしまい、企業としては利益率が低くなってしまいます。
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普段はいい人であっても、そのユーザーの性癖や好みがこういったサービスで初めて知らされるという可能性もあります。
しかしそれでも、何かしら悪質な行為を働い場合は信用スコアがガタ落ちになります。
悪い口コミもデジタルタトューのように残ってしまうことを考えると悪質な行為を防ぐ抑止力の意味もあるのではと思います。
ということで是が非でも決済手数料は無料でなければいけないという説明をしました。
他のサービスはもっと高い
PayPayの2%が高いという事ですが、他のスマホ決済サービスはもっと高いです。
なので、加盟店によってはPayPayのスマホ決済しか受け付けないって所もあるくらいです。
なのでPayPayには期待を寄せてはいましたし、社会的意義も大きい超重要サービスでイノベーションをリードしてくれるのではと思ってました。
しかし残念ながら、手数料2%が無料になる事は今の所PayPayもなければ他のサービスからも生まれることはないかと思います。
それでも、ビジネスの根本の決済サービスが無料になることで新しい便利なサービスが産まれる事を期待しています。
予約やモバイルオーダー、店舗の空室の確認サービスなども決済手数料が無料になることで多くのサービスが産まれればいいなぁと願うしか出来ないです。
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