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IndexedDBとエラーハンドリングのベストプラクティス: 安全で簡潔な設計方法

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はじめに

JavaScript のクライアントサイドデータベースである IndexedDB は、ブラウザ内で大量のデータを永続化するための強力な API です。しかし、その利用には注意が必要です。特に、IndexedDB の非同期操作に伴うエラーハンドリングは慎重に設計しないと、バグの原因やデバッグの難しさに繋がります。

この記事では、IndexedDB の基本的な使い方と、エラー発生時の適切なハンドリング方法について解説します。簡潔で安全なエラーハンドリングを実現するためのコード例も紹介します。


IndexedDB とは?

IndexedDB は、クライアント側で大量の構造化データを保存するためのブラウザ組み込みのデータベース API です。特徴として以下の点があります:

  1. キーと値でデータを保存する: データは「オブジェクトストア」と呼ばれる単位で保存されます。
  2. 非同期 API: IndexedDB の操作は非同期で行われるため、Promise や async/await を活用して扱う必要があります。
  3. 永続的なストレージ: 一度保存したデータは、ブラウザが閉じられても保持されます。

IndexedDB を使った基本操作の流れ

  1. データベースを開く:

    • データベースを開く際に open メソッドを使用します。
    • 非同期でデータベース接続が完了するまで待つ必要があります。
  2. トランザクションを作成する:

    • データベース操作はすべてトランザクションを通じて行われます。readonly または readwrite モードを指定します。
  3. オブジェクトストアを操作する:

    • トランザクションの objectStore メソッドを使ってデータの取得や保存を行います。
  4. エラーハンドリング:

    • IndexedDB の操作中にエラーが発生する可能性があるため、適切なエラーハンドリングを実装することが重要です。

IndexedDB のエラーハンドリング: よくある課題

IndexedDB のエラーが発生する可能性のある箇所


実際のコード例: データ取得関数とエラーハンドリング

以下に、IndexedDB を使ったデータ取得関数のコード例を示します。この関数では、エラーを適切にログに記録しつつ、呼び出し元がシンプルに扱えるような設計を採用しています。

データ取得関数: getIDB

async function getIDB(table, id) {
  try {
    const db = await openDatabase(); // IndexedDB のデータベースを開く
    const transaction = db.transaction([table], 'readonly'); // 読み取り専用トランザクションを作成
    const objectStore = transaction.objectStore(table); // オブジェクトストアを取得
    const getRequest = objectStore.get(id); // ID を指定してデータを取得

    return new Promise((resolve) => {
      getRequest.onsuccess = (event) => {
        resolve(event.target.result); // データが存在する場合は返す
      };

      getRequest.onerror = (event) => {
        console.error('Request error:', event.target.error, table, id);
        resolve(null); // エラー発生時は null を返す
      };
    });
  } catch (error) {
    console.error('Unexpected error in getIDB:', error, table, id);
    return null; // 致命的なエラーが発生した場合は null を返す
  }
}

コード解説

1. openDatabase メソッド

データベースを開く際、通常はエラーが発生しませんが、ブラウザが IndexedDB をサポートしていない場合や、データベース接続が失敗した場合に例外がスローされます。

const db = await openDatabase();

2. トランザクション作成

db.transaction() を使って読み取り専用のトランザクションを作成します。操作対象のオブジェクトストアを指定します。

const transaction = db.transaction([table], 'readonly');
const objectStore = transaction.objectStore(table);

3. データ取得

objectStore.get(id) を使って指定した ID のデータを取得します。ここでエラーが発生した場合は、getRequest.onerror が呼び出されます。

const getRequest = objectStore.get(id);

4. エラーハンドリング


エラーを意図的に発生させる方法

テスト時にエラーを意図的に発生させるには、以下の方法を試すことができます:

  1. 存在しないオブジェクトストアを指定:

    const data = await getIDB('nonexistentStore', '123');
    
  2. 不正な ID を指定: 存在しない ID を指定すると onsuccess が呼ばれ、resultnull が返ります(エラーにはなりません)。

  3. openDatabase の失敗をシミュレート: openDatabase をモック化して意図的にエラーをスローします:

    async function openDatabase() {
      throw new Error('Simulated openDatabase error');
    }
    

呼び出し元での使用例

上記の getIDB 関数を使ってデータを取得する例を示します:

async function main() {
  const data = await getIDB('users', 'user123');
  if (data) {
    console.log('データを取得しました:', data);
  } else {
    console.log('データが見つかりませんでした');
  }
}

main();

まとめ

IndexedDB を使ったアプリケーションでは、エラーを適切にハンドリングすることが非常に重要です。本記事で紹介した getIDB 関数は、以下の特徴を持つシンプルかつ安全な設計になっています:

  1. 非同期操作を Promise ベースで簡潔に処理
  2. 致命的なエラーをログに記録しつつ、呼び出し元に影響を与えない設計
  3. エラー発生時でも null を返して処理を継続可能

IndexedDB を利用する際は、このように安全性と簡潔さを両立する設計を目指しましょう!

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