社会保険制 廃止論
---企業負担と複雑な仕組みが非効率を生む時代の終わり---
日本の社会保険制度は、「企業と個人が保険料を折半し、健康保険と年金を支える」という建前で設計されています。
しかし、時代が変わり働き方が多様化する中で、この構造は非常に大きな歪みを抱えるようになりました。
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企業は従業員の医療費・年金を負担する
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何重にも積み重なった組織が保険料を管理
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保険組合の役員に“天下り”が指摘され続ける
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企業も組合も莫大な事務コストを抱えている
にもかかわらず、制度はほとんど変わらないままです。
■ 公的サービスなのに「お金の流れが見えにくい組織」は天下りの温床になる
健康保険組合は全国に 約1,300 組合 存在します。
その多くが各業界や企業グループに紐づき、独自の財務・組織構造を持っています。
問題は、
“公的サービスなのに公的機関ではない”
という極めて曖昧な立ち位置です。
健康保険は国民全員に関わる公的サービスでありながら、
その財務・組織が各組合ごとにバラバラで、透明性もまちまちです。
この構造のため、たびたび以下のような天下り・再就職の指摘がされています。
🔍 天下り・出向に関して掲載されているリンク
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「公表資料(平成29年9月22日) - 内閣官房」: 健康保険組合を含む官庁出身者の再就職先一覧(例:電通健康保険組合への嘱託)。 内閣府(公表資料 PDF)
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「幹部国家公務員における複線型人事の分析」: 天下り・出向の制度分析(社会保障関連法人への言及あり)。 東京大学ポータル(PDF)
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「けんぽれん大阪連合会 広報誌『かけはし』」: 健保組合の体質改善(天下り・政治献金の見直し)に関する記事。 健保連大阪(広報誌)
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「天下り先確保、全国健康保険協会管掌健康保険制度の場合」: 全国健康保険協会(協会けんぽ)への再就職事情を扱った記事(参考)。 リハ医の独白(ブログ)
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「常勤役員 天下り占拠(社会保険診療報酬支払基金の事例)」: 厚労省出身者の再就職に関する指摘記事(制度周辺の事例として参考)。 日本共産党(記事)
■ 健保組合の事務コスト:全国で 80〜130億円/年
健保組合は約 1,300 組合あり、
職員数は推定 約 15,800 人。
試算された年間人件費は 80〜130 億円規模 にのぼります。
これらはあくまで
「健保組合だけの」
事務コストです。
実際には:
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健診費用の処理
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被保険者資格手続き
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給付処理
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システム管理
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決算・監査対応
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各企業の保険担当者の社内業務
など、企業側と医療機関側にも膨大な事務が存在します。
■ 社会保険は“税金に近い”のに、なぜ税方式にしないのか?
健康保険料も厚生年金保険料も、強制徴収であり「選択できない」点では完全に税金と同じです。
国の一般会計・特別会計への繰り入れも行われているため、性質はほぼ税に近い。
ならば…
■ いっそのこと「所得税一本化」で良いのでは?
もし健康保険料・年金保険料を所得税に統合すれば:
✔ 企業は社会保険料の計算・納付・管理が不要
→ 事務コストが激減
→ 雇用のハードルが下がる(特に中小・フリーランス系企業に大きい)
✔ 健保組合を維持するための事務員 1.5 万人、
年間 80〜130 億円の固定費も削減できる
(すべてなくなるわけではないが大幅整理可能)
✔ 会計が一本化され、不正・天下り・過剰な中間組織を削減しやすい
✔ 個人は「自分が何をどれだけ負担しているか」明確になる
(今は保険料の天引きが複雑すぎて、実感を持ちづらい)
■ 社会保険を今の形で続ける意味は本当にあるのか?
制度が複雑で透明性が低いと、その部分に必ず“利権”が生まれます。
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何千という独立組織
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各組合の役員・管理職
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官庁OBの再就職先
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不透明な資産運用
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組合ごとに異なる組織文化
これらは「日本人の医療・年金を守るため」に本当に必要なのでしょうか?
■ 結論:税方式への一本化は、
“天下りの温床”を断ち切り、
“事務コストの山”を解消する最適解である
社会保険は本来、国民全員を守る仕組みのはずです。
しかし現在は、
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巨大で複雑な利権の塊
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企業と個人の双方に重い負担
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企業の雇用を阻害する
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公的なのに透明性がない
という、制度疲労の極みにあります。
もし「社会保険=税金とほぼ同じ」であるなら、
最初から 税として一本化 した方が合理的です。
余った事務コストを福祉や医療、保育に回せば、
社会全体の効率と幸福度も高まります。
いまこそ、
“社会保険制そのものを見直す”議論が必要な時代
に来ています。
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