結局リモートワークはどうなった
GAFAM回帰の背景と、これからの働き方システム
2020年のコロナ禍で一気に広がったリモートワーク。
「もう会社に行く時代は終わった」そう語られた時期もありました。
しかし、2023年以降、多くの企業——特にGAFAM(Google、Apple、Meta、Amazon、Microsoft)は従業員にオフィスへの回帰を求め始めました。
なぜか? それはリモートワークが失敗だったからではなく、制度設計が中途半端だったからです。
一方で、GitLab、Automattic(WordPress)、Basecamp、ZapierなどRemote-First企業は、むしろ業績を伸ばし、従業員満足度も高いままで運営しています。
この差を生んでいる要素は何か?
その答えは「文化」や「性格」ではなく、仕組み(Systems)です。
リモートワークが成功する企業と失敗する企業の違い
| 企業タイプ | 管理方法 | 評価軸 | 採用 | 組織構造 |
|---|---|---|---|---|
| GAFAM型(出社要求) | 会議中心 / 対面優位 | 出社+成果 | 役職者採用+プロジェクト単位 | 階層型 |
| Remote-First企業 | 非同期コミュニケーション / ドキュメント文化 | 成果ベース+稼働時間ベース | スキルベース / 世界採用 | 分散型 / フラット |
失敗した企業の多くは、「オフィス文化のままリモート化しようとした」
これが最大の原因です。
Slackで常にオンライン要求、Zoom連打、報告会議の増加。
これは働き方を改善するどころか、疲弊と管理コストを増加させました。
リモートワークを成功させる3つの設計思想
① 評価は「成果+時間単位」
成果だけでは公平性が保てず、「サボり疑念問題」「貢献度の可視化問題」が生まれます。
逆に、勤務単位を「日割り」ではなく「時間単位」にすることで、柔軟性と責任を両立できます。
例:
-
1時間=最低作業単位
-
週40時間が原則だが、成果に応じ調整可
-
予定はシステム上で公開され、透明化される
結果:働いた時間と成果の両方が透明になり、監視ではなく信用が基本になる。
② 採用権を現場に移す(マネージャー集中型から流動型へ)
従来は採用=管理職の権限でした。
しかしRemote-First企業では、
🔧 「一緒に働く人が採用を決める」
という方式を採用しています。
理由は簡単です:
管理者より、現場が誰が役に立つか理解しているから。
この構造はチーム責任と帰属意識を強め、採用コスト・教育コストも大幅に下がります。
③ 解雇は柔軟に(低パフォーマー維持コストを下げる)
リモートでは、能力や文化の不一致が早期に発覚します。
だからこそ、
-
試用期間を長くする
-
契約形態を柔軟に
-
アウトプット基準を可視化
することで解雇=悪ではなく、ミスマッチ解消のプロセスとして扱います。
結果、優秀な人材は残り、組織の負荷が減ります。
では、なぜGAFAMは出社させるのか?
理由は主に3つ。
| 理由 | 詳細 |
|---|---|
| イノベーションの速度 | 研究・ハードウェア・複雑なプロジェクトは対面のほうが速い |
| 新人育成 | 属人スキルの吸収はオフィスが強い |
| 文化維持 | 規模が巨大になり、リモートで統一文化が保てない |
彼らは「リモートがダメ」なのではなく、
全ての業務がRemote-Firstに向いていない
という判断です。
何年も前の記事でも書いたように裁量を現場に委譲する事で効率に動かす事ができるかと思います。リモートだろうが、オフィス出勤だろうが関係なしにピザ2枚分で満腹できる人数に分けて評価を事業側からも入れれば適正な評価とスタッフのモチベーション維持に貢献できるかと思います。
GAFAMのような利益や人数が桁違いのような組織になれば、そういう細かい仕組みは面倒になるので、どうしても官僚組織になってしまうのもデメリットの一つかと思います。
Final Message
リモートワークは単なる働く場所の問題ではなく、管理・評価・文化・採用・信頼設計の問題です。
監視ではなく、設計。
管理ではなく、仕組み。
その違いが、業績の差となって現れています。
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