🏠 ホーム
経済市場
政治経済
SEO

なぜインフルエンサーは事実より過激な発言が多いのか

  マーケティング >     経済市場 >  

SNS時代の“構造的な理由”を解説

最近、YouTube・X・TikTokを見ていると、以前よりも極端な意見を言うインフルエンサーが増えたように感じませんか?
「陰謀論」「過激な政治」「強い断言」「煽りタイトル」など、刺激が強いほど再生される。
なぜこんな現象が起きるのでしょうか?

実はこれ、個人の性格の問題ではなく、SNSが生み出す仕組み(インセンティブ)の問題なんです。


1. アルゴリズムは“極端”を好む

SNSのアルゴリズムは、「感情が大きく動く投稿」を拡散させます。

こういった感情は、いいね・コメント・シェアを生みやすい。
一方で、冷静で中立な話題は伸びにくい。

その結果、インフルエンサーは無意識に学習します。

「強く言わないと、誰にも見てもらえない」

これが極端化の第一歩です。


2. 過激にしないと埋もれる“競争環境”

インフルエンサーは毎日、大量のライバルと戦っています。

こうしないと埋もれてしまうため、競争がインフルエンサーをより刺激的にさせるのです。


3. フォロワーが“極端な意見”を求める構造

フォロワーは、インフルエンサーに対して「自分の感情を代弁してほしい」という期待を持っています。そのため、

こういった“バランス”を取ると、逆に叩かれたり、離れられたりする。

インフルエンサーは学びます。

「フォロワーの期待に合わせた極端な意見を出し続けないといけない」

これが“ブランドの呪い”です。


4. 極端な意見のほうが“お金になる”

残念ながら、収入面でも極端な意見が有利です。

特に、「敵を作る」ビジネスは最も儲かるモデルの一つです。

(政治系・陰謀論系・アンチ商法などが伸びる理由)


5. インフルエンサー自身が“情報の泡”に閉じ込められる

インフルエンサーは、常に自分と似た考えの人たちと絡みます。

気づけば、周りが全員“自分の意見に賛成する人だけ”になる。

これにより、現実感覚が徐々にズレていきます。


6. 一度“極端キャラ”になると戻れない

インフルエンサーは“キャラ”で覚えられます。

こうしたキャラを取ってしまうと、途中で普通のことを言うとファンが離れます。

つまり、

極端なままでい続けることが、最も効率が良い

という構造になってしまう。


■ アルゴリズムは「簡単で気持ちいい物語」を好む

極端な意見は短く言えて、わかりやすく、感情を動かしやすい。

令和の米騒動が良い例です。

実際は農業政策・流通・需給・天候・国際相場・各団体の力学が絡み合う極めて複雑な問題。しかし、多くの視聴者は複雑な因果関係より、

「30文字で理解できる敵」

を求めてしまう。

だから極論動画のほうが伸び、事実を丁寧に説明する動画は埋もれる。


■ 極端であればあるほど、フォロワーは心地よくなる

視聴者は、自分の感情を代弁してくれる“強い言葉”に惹かれます。

それが仮に事実からズレていても、「スッキリする」「気持ちいい」という理由で支持されてしまう。

この結果、インフルエンサー側も

「正しい情報より、フォロワーが気持ちよくなる言い回し」

へと寄っていきます。


■ 不登校YouTuber2名の例に見る“極論市場”の構造

不登校問題をめぐり、以下の2名のYouTuberが対立していました。

  1. 精神科医(リベラル系)

    • 「学校に行かなくてもいい」

    • 「無理に行かせるのは虐待」

    • 不登校支援ビジネスを批判

  2. 不登校支援ビジネス運営者(保守系)

    • 精神科医を「薬で儲けるビジネス」と批判

    • 「不登校を許容するほうが子どもの未来を奪う」と主張

両者は真逆の立場で、互いのフォロワーも強く分断されていました。

ところがある日、彼らがコラボ動画で互いの主張を理解し合い、

と、非常に建設的な内容が公開されました。

しかし、その動画は 精神科医側のチャンネルに上がったため、

これらがフォロワーの強烈な反発を招き、コメント欄が荒れ、最終的に動画は削除されました。


■ チャンネルの“色”に逆らえない現実

YouTuberはフォロワーに支えられて成り立つため、

フォロワーの世界観に合わなければ、収益的に致命傷になります。

つまり、インフルエンサー自身が真実を語りたくても、

「フォロワーの好む極論から外れたら終わり」

というジレンマを抱えているのです。


■ フォロワーは、もはや“正確な情報”では満足しない

本来、YouTubeの価値は「一般には見えにくい事実を丁寧に説明すること」だったはずです。

しかし現在は、

これらのほうが圧倒的に消費されるようになっています。

そのため、ファクトチェックされた情報は相対的に見られず、「快感をくれる極論」が勝ってしまう。


■ まとめ:極論は“ウケる”から広がり、事実は“面倒だから”埋もれる

SNS時代の情報環境では、

これらが組み合わさり、極端で単純な物語ほど強くなるという構造ができあがっています。

インフルエンサーが極端になるのは、

これらすべてが「極端な意見のほうが得をする」ように設計されているためです。

だからこそ、私たちがSNSを使うときは、発信者本人ではなく“仕組み”を見ることが大切になります。

登録日:

更新日:

by

コメント         tweetでコメント