AI時代に残る人間の仕事と「怒られ屋」的未来
漫画『怒られ屋』が描くのは、AIがほとんどの実務を担い、人間には「責任を取る」「怒られる」「感情のはけ口になる」といった非合理で人間的な役割だけが残される未来像である。
この構図はフィクションにとどまらず、現実のカスタマーサポートやクレーム対応、専門職のあり方とも地続きになりつつある。
1. 人間に残る「責任」と「感情労働」
AIは事務処理・分析・判断支援を高精度でこなす一方、
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最終責任を負う
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顧客や社会に説明・謝罪する
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不満や怒りを受け止める
といった「感情労働」や「責任の受け皿」は人間が担わされる傾向が強まっている。
人間は“最後のクッション”としての役割に追いやられつつある。
2. 弁護士の未来像:実務はAI、顔は人間
法律分野でも同様の変化が進んでいる。
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契約書作成、判例調査、翻訳などの実務はAIが担当
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弁護士は「名義」「最終サイン」「説明」「謝罪」「立ち会い」が主な仕事
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実務能力よりも誰が説明するかという人格・ブランドが価値になる
結果として、弁護士は責任を引き受ける顔としての役割が強調されていく。
3. 報酬はスキルより「ネームブランド」
AIによって実務の質が均一化すると、
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技術的な差別化は難しくなる
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報酬差は「知名度」「実績」「安心感」といったブランドで決まる
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既に名前を持つ弁護士は高付加価値ゾーンへ
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若手や後発組は薄利多売に陥りやすい
つまり、AI普及前にどれだけ名前を築けたかが、その後の報酬レンジを固定してしまう。
4. これから弁護士になる人の厳しさ
AI時代に参入する若手は、
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ルーティン業務を経験できない
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スキル差がつきにくい
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価格競争に巻き込まれやすい
一方、ベテランは「AI × ブランド」で高収益を維持する。
世代間格差が拡大し、資格職の意味そのものが揺らぐ可能性がある。
5. AIに任せられるなら、任せてしまえばいい
AIが苦手なのは、営業や交渉のように人を説得する仕事や、現場対応が必要なブルーワーカーの領域です。
一方で、分析・最適化・意思決定といった論理的な判断は、今後ますますAIが担うようになります。
その結果、社会全体が「AIにコントロールされている」ように見えるかもしれません。
けれど、それは必ずしも悪いことではありません。
むしろ、面倒で神経をすり減らす判断や最適化をAIに任せられるなら、人間はもっと楽になっていいはずです。
重要なのはAIプラットフォームが一人勝ちしてしまうので、AIが生み出した富をどう分配するかです。
その利益が社会にきちんと還元されれば、
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無理に長時間働かなくてもいい
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過度な競争に参加しなくてもいい
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「成果を出さないと生き残れない」社会から解放される
そんな方向に進むことも十分あり得ます。
仕事をAIに奪われること自体が問題なのではなく、奪われた後に、どんな社会を作るかが本当の論点なのです。
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