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OKRと360度評価

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この評価システムの発端は、OKRが事業者、営業には合うけどエンジニア、バックオフィスには合わないという、極めて素朴な違和感でした。

特にエンジニア領域では、OKRを真面目にやろうとすればするほど、時間もエネルギーも削られていく。

数値化しづらい成果を、無理やり定量化するために、ひたすら時間を使っているのでは?

この疑問から、すべてが始まっています。


なぜOKRがエンジニアにとってナンセンスになりやすいのか

問題はOKRそのものではありません。職種との相性です。

エンジニアの仕事は「目標を立てにくい」

エンジニアの本質的な価値は、非常にシンプルです。

つまり、多くの場合は

「これをやってほしい」
「今これが困っている」

という外部入力に対する最適解を出す仕事です。

この構造では、

というOKR的アプローチ自体が、そもそも噛み合いません。

一方、事業者は目標を立てやすい

営業、ディレクター、PdMは違います。

といった外部に見える結果を直接持っているため、目標設定と数値化の相性は良い。

同じOKRでも

この非対称性を無視して制度を揃えた結果、OKRを作ること自体が仕事になるという本末転倒が起きていました。


OKRのプロセスが奪っていたもの

特に問題だったのは、プロセスコストです。

その時間があれば

障害を1つ潰せた
技術的負債を1つ返せた
事業者の相談に1回多く乗れた

そう感じる現場は少なくありません。

「測るために仕事をする」状態

これこそが、OKRがナンセンスに見え始めた最大の理由です。


そこで再設計した新・多面評価システム

この反省を踏まえ、評価制度をゼロベースで見直しました。

ポイントは職種ごとの役割を正しく認めることです。

職種別・評価ウェイト

職種 業績連動 多面評価
事業サイド(営業・Dir・PdM) 50% 50%
技術・事務(Eng・Admin) 10% 90%

なぜエンジニアにも10%の業績連動を残すのか

組織の一体感のためです。

これを防ぐために、最低限の業績連動(10%)は持たせます。ただし、主軸はあくまで多面評価(90%)です。


評価する人を決めるロジック

評価の仕組み自体も、OKRの反省を強く反映しています。

評価者はSlackデータから自動抽出

をシステムが選びます。

「誰が評価するか」を人が決めないことで、評価の政治性を排除します。


意図的な割り切り

この評価制度で最も特徴的なのが、評価者に“考えさせない・書かせない”設計です。

一見すると、乱暴で雑な評価に見えるかもしれません。

しかし、これは手抜きではありません

むしろ逆で、現場の負担を最小化するために、意図的に削ぎ落とした設計です。

コメントがなければ何がいけないのか反省ができなさそうですが、コメントの部分は普段のプロジェクトの振り返りなどでもフィードバックはもらえますし、そうあるべきです。


なぜ「完全匿名」なのか

匿名性は、心理的安全性を守るために不可欠です。

こうした恐れがある限り、評価は必ず歪みます。

査定者や役員でさえ、誰が評価したか分からない構造にすることで

を物理的に排除します。

その結果、パワハラ気質の人は自然と評価が下がり、周囲から信頼されている人が浮かび上がります。

これは制度による処罰ではなく、現場の集合知による自然な昇進・降格です。


なぜ主観的でいいのか

この制度では、評価にあたって

といった情報は一切不要です。

見るのは、ただ一つ。

「この人と、今後も一緒に仕事をしたいか」

それだけです。

評価は客観的である必要はありません。主観の集合こそが、最も現実に近い評価になります。


事業者とエンジニアの、健全な牽制関係

この制度がうまく機能する理由は、事業者とエンジニアの評価構造が非対称に設計されている点にあります。

そのため、

一方で

そんな事業者は、多面評価側で確実に点数を落とします

結果として

強く出れば評価が上がるわけでもなく、
優しければ評価が上がるわけでもない。

成果と周囲への影響のバランスが、自然に取られます。


時間をかけないこと自体が、制度の価値

評価は、できるだけ短時間で終わるべきです。

これ以上は要りません。

なぜなら

スタッフの評価のために、スタッフの時間を奪ってはいけない

からです。

評価制度が生産性を下げるようでは、それ自体が失敗です。


生産性と公正さを、同時に成立させるために

この「書かせない・考えさせない評価」は

という、極めて実務的な設計になっています。

評価を厳密にすることよりも、評価によって歪みを生まないことを優先する。

この思想こそが、この制度を支えている一番太い背骨です。

 


多面評価は事実の断面、給与査定は経営が持つ

重要なのは、多面評価を給与査定にしないことです。

役員は

を突き合わせて、最終査定を行います。

これは属人的評価への回帰ではなく、数字と人間理解の分業です。


この制度が目指しているもの

この評価制度は、評価を正確にすることよりも

無駄なことをしなくて済む組織

を目指しています。

エンジニアにはエンジニアの、事業者には事業者の戦い方があります。

同じ制度で、同じように測ろうとしない。それが、この「新・多面評価システム」の核心です。

 

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