OJTの崩壊でエンジニアの就職浪人が増える?
まずOJT on the job trainingとは?の説明からしたいと思います。
OJTとは現場で具体的な事例やタスクを与えられながらどうこなすかまで
一連の流れを教わる事です。
特段特別な事をするわけではなく単純にどこの席に座ってとか勤怠はどうするとか、PCのパスワードを教えるとかもOJTの一種だと思っていますので、どこでも普通にやっている事だと思います。
なので、普段は「OJTを実施する」ということはなく意識する事もない場合が多いです。
資格の勉強や、学校で習うことやプログラミングスクールは座学と言われ一般的な事しか教わりません。
実際プログラミングの現場に入ると具体的にクライアントの名前であったり、チームの名前やどういう仕事をしているか、誰がどの仕組みを知ってて、どういった組織の中で
なんでこういう機能を作ったのか、この機能はどのサーバーでIPアドレスは?などなど、現場でしか知り得ない事の方が座学よりも多いです。
なので、基本情報技術者試験の資格を持っている事があまり評価されないのはそういう事なども理由です。
小松が既に上げている実践動画もできる限り現場で必要とされるように実際コーディングしながら伝えてますが、それでもあくまで座学にすぎないです
そんなOJTの会社からしたメリットを座学と比べた上で説明します
先輩エンジニアであるメンターが新人に仕事内容を教えることになるので、その新人ができる人なのかどうかの判断が早くできます。
新人がプログラマーには無理だなってすぐ判断出来た場合は試用期間中に最悪解雇もできます。
でも実際は試用期間中に解雇した話を聞いたことないですが。
もう一つは具体的なタスク内容を教えるので新人(トレーニー)が覚えやすく一人前になるのが早い
例えばタスクで
「CSSでこのページの色を白から赤にしてください、
もとのCSSは同じファイルのインラインに記載しているので
そこを変更して下さい」
の場合、実際のレポジトリのファイルのパスやファイルの中身の部分を指示できるので、早くてわかりやすいですし、次のタスクの時に「前触ったファイルをまた修正して」という時はもう既にどのファイルかを知っているので指示がなくて済みます
デメリットは第一線で活躍している先輩エンジニアの稼働を使ってしまうことになる
事です。
教えられるぐらいのプログラマーはプログラマーとしても優秀ですので、重要なタスクをいっぱい抱えているのに、新人教育に時間を費やすのはもったいないとなるケースもあります
ではなぜ小松は日本のOJTが世界一優れていると思うのか?
を説明していきたいと思います。
インドで海外勤務していた時に日本との違いに気づいたのでもしかしたら、他の国もOJTが優れている国があるかもしれないですが、日本独特の文化からなる部分が多いのでやはり世界一なのではと思います。
学歴社会ではない
海外ではまずコンピュータサイエンスの学士を取得して初めてプログラマーの就職活動ができます。
日本では「なぜ文系出身でもプログラマーなれるのか?」の動画でも上げてる通り、学歴がなくてもプログラマーになれます
個よりも組織の集団主義と恩返しの文化
全てのSierで働いているプログラマー・エンジニアの人はもちろん
ピンはねされている事は知っています。
しかし、未経験で雇ってもらったという感謝の気持ちもあり恩返しもあり、残っているというケースはあるかと思います。
未経験を雇う事は会社からすればはじめの数カ月は赤字になるリスクを背負って雇うことになるので、どんなブラック企業でも感謝はすべきかと思いますし、日本は感謝している人も多いかと思います。
小松自身も初めの会社に雇われなければ飲食店とかで働いていた事になってたので、初めに入った企業はまさにブラック企業というような企業でしたが、転職すれば給料が上がると知ってながらもある程度の間転職せずに同じ会社で勤めていました。
それは感謝があったからこそです。
職能給の文化
ポジションに対して賃金を支払う職務給に対して、その人のスキルアップや頑張りで基本給を上げる職能給なので、新人でも頑張れば給料が上がるというモチベーションが湧き、目の前の仕事に対して前向きに向かわせる効果があります
海外は職能給とは違い職務給です。
小松が海外の国連で働いた経験で知っているあるスタッフの例を挙げると、その人は普段の仕事は毎日遅刻してきてまったくやる気がないです。
なぜなら、がんばろうががんばるまいが給料は変わらないからです。
しかしその人は上のポジションの応募を必死になってやってました。
必死にやってた甲斐もあってか、その人は上手く上のポジションをゲットして転職してました。
しかし、そんな人ばかりになってしまうと現場の生産性は低くて仕方ありません
その人のスキルアップや頑張りで給料が上がる仕組みというのは日本では当たり前かもしれませんが海外にはなく職能給という日本特有の文化です。
その職能給のおかげで同じポジションでも成長を見てくれるので、成長すればそれが給料アップにつながりモチベーションとなり本人のスキルアップにも大きく貢献している仕組みでもあります
サービス残業で勉強する文化
例えば、美容師が営業終わってから技術を上げるために、残業してカットの練習をしたりしてても、その時間帯はサービス残業みたいな話を聞いたことがあるのですが、小松の経験でも勉強するためにサービス残業してUnixのサーバーを触って色々コマンドを
叩いたりしていました。
Unixサーバーとかはとても個人が買える値段ではないのです。
プログラミングスクールなどの専門学校には行ってなかった小松にとっては会社に居残って「無料で勉強できる」という感覚でサービス残業していました
しかしながら海外はシステムの把握などは勉強ではなく仕事の一環ととらえるのが当たり前なので、サービス残業なんてありえないというスタンスです。
そのサービス残業分日本の方が新人が一人前になるスピードが早く企業からしてもコストがかからないといった仕組みです。
これらの理由から小松自身日本のOJTが世界一だと思う理由です。
インドにいるときによく
「なぜ日本は第二次世界大戦で全て焼け野原になったのにGDP世界2位(当時)にまで
なれたの?」
という質問された事がありましたが、当時はうまく答えられなかったのを覚えています。
今もし聞かれたらそれはOJTが優れているからと答えると思います。
しかしながら、そんなOJTも少しづつ崩壊の危機が訪れています。
ではなぜ崩壊しているのか?
先程OJTの説明していた時に気づいた方もいるかも知れないですが、サービス残業だの、恩返しだの、感謝だの、成長だのってブラック企業が言いそうな事ですねw
働き方改革などで、残業が少なくなったり、ブラック企業やパワハラなどの言葉が出始めたのはここ10年以内の気がします。
昔は根性を叩き直すとかの精神論も普通に横行していたし、定時で帰れるものではなかったですし理不尽に怒鳴られたりなど当たり前でした。
そのシゴキがあって昔は感謝さえあったものの今同じようなシゴキをすると労基署に駆け込まれるかと思います。
確かに無意味で非効率なシゴキは廃止すればいいのですが、昔のようなやり方での教育は今では通用しません。
昔は企業がしっかりOJTで一人前に育てる事が出来たのですが、今ではOJT自体が訴訟やネットでの評判が落ちるリスクに直結します。
元々未経験者を雇うリスクがあった所にさらにこういったリスクがあるためSierをはじめとしたIT企業が未経験者を雇うことをためらっているのではと思います。
今回説明した「OJTの崩壊」と
「なぜプログラマーの給料は安いのに費用は高い?」
の動画でフリーランスが増える事で未経験者が仕事に就きづらくなっている件と
「プログラマー・システムエンジニアのコロナの影響」
の動画で在宅勤務が増える事で未経験者が仕事に就きづらくなっている件と今回の話の事情からやはり未経験者がプログラマーになる事は難しくなっていると言わざるを得ない状況かと思います。
なので、多少賃金が低かろうがプログラミングの経験が積めるのであれば応募しておいたほうがいいかと思います。
しかし注意が必要です。
ちなみに小松の経験談ですがフリーター時代にどうしてもプログラマーの仕事を探してて時給800円でもいいのでって事でプログラミングの仕事を獲得したつもりだったのですが、会社に入ったらただのAdobeの動画のテスト(音声とテキストが合っているかどうか)だったので、1ヶ月で辞めましたw
最悪そういう会社に入ったとしてもすぐに辞めればいいかと思います。
未経験者は選べる立場ではないですが、1年もプログラミングの経験をすれば売りて市場の仲間入りになるので、是非諦めずに頑張ってもらえればと思います。
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