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なぜ日本は高度経済成長できたのか

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昭和の時代なぜ日本は敗戦したのに高度経済成長する事ができたのか?

インドに留学中によくインド人学生から聞かれた質問の一つでした。

日本は敗戦になって、全てが焼け野原になり、資源にも乏しい国でもあります。

それなのになぜ豊かになれたのか?

という質問に対して当時いい答えが思い浮かばなかった記憶があります。

「ルピーはコインも札も種類が多いので支払う時、いちいち面倒だからじゃない?」

って回答すると

「はぁ!?」みたいな反応だったのを思い出します。

なぜ経済発展できたのかという理由がわかれば1990年代から経済が低迷している原因、いわゆる失われた30年からまた経済発展できる原因が掴めるのではと思い、色々調べてみました。

ネットで書かれている大体の理由

ネットで調べてみると以下のような答えでした

後半3つぐらいは本当にそうかなって思うのもありますが、大体こんな感じで書かれていることが多いです。

今回は違ったの視点でなぜ発展したかというより、なぜ他の国は発展できなかったのかという視点で他の国が発展できなかった理由を調べて消去法で日本を浮かび上がらせようと試みました。

理由はこれだっていう一つというよりかは複合的な理由なのかなぁと思いますが。

社会主義陣営ではなく資本主義陣営だったから

第二次世界大戦後は冷戦時代が続いたので、ネットで調べるとまず資本主義か社会主義かの記事が多く出てきました。

社会主義陣営であるロシアや中国、北朝鮮は経済成長に遅れが出てしまっていたという話です。

資本主義が絶対正しいとは思わないですが、明らかに20世紀後半で2つの主義での経済の差が出たのではと思います。

国家が経済の隅々まで管理するという事に無理があったのではと思います。

なのでスズメ狩りみたいなトンチンカンな事をやってのけちゃうのだと思います。

まずは共産主義・社会主義陣営の国を発展できなかった国々として消去できるかと思います。

海に面している

ネットで調べると経済発展と海洋貿易は密接に関わってくるとの事がわかりました。

貿易のほとんどは海上貿易だそうです。

海上輸送と航空輸送、どちらの輸入が多い? | みんなの仕事Lab-シゴ・ラボ-

重量ベースでは全体の99.7%、金額ベースでも76.7%が海上輸送

ネパール、ボリビア、中央アジアなどが内陸国なので、地理的に経済発展しづらい国々です。

東ヨーロッパより西ヨーロッパが発展が早かったのも海に面している事が大きいと思います。

ボリビアなど内陸国にも関わらず、海軍があって海につながろうとしているぐらい海に面しているということは国にとって死活問題のようです。

ボリビア海軍 - Wikipedia

スイスが豊かな国なのが不思議なくらいです。🤔

植民地されていない

どこまでが植民地にされて、国家の主権が奪われたのかどうかを定義するのは難しいですし、各々の国のケースバイケースではありますがだいたい長い間植民地されて自ら国家としての主権がない国を挙げたいと思います。

アフリカ、中東、アジアとほとんどの国が植民地にされていてるので、逆に植民地にされていない国を挙げた方が早いくらいです

ヨーロッパ、北米、南米、オーストラリア、ニュージーランド、そして日本

これも細かい話をすると間違っている所もあると思いますが、だいたいとして優しくみてもらえればと思います。

国が主権を持って自ら長い間統治して来たという事で、国とその国民が組織だって行動できる体制が培われていた事にもなります。

何かしらの製品を作るには何十人、何百人くらいのチームワーク・組織だった行動が必要になってきます。

日本は平和な江戸時代が250年ぐらい続いていて、国として機能して統治でき、組織だった行動ができる下地は十分にあったのではと思います。

日本を始めとして、植民地化されずに国として高い統治機能の歴史があるという事は国が発展できる大きな要因なのではと思います。

平和の国家が継続すれば文明も進みます。

イギリス人のフォーチュンが幕末の日本に訪れて驚いたことが身分を問わず園芸を楽しむ文化があるという事は日本人の方が文明人のように見えると言い残しているくらいです。

イギリス人植物学者が見た日本/ロバート・フォーチュン「幕末日本探訪記」

日本は国家としての期間が長い事で文化、文明、教育水準が高くなり経済発展できる下地が既にあったのではと思います。

財閥・大地主は経済成長を妨げる存在

今回の記事で最も伝えたい本題がここです。

学生時代にGHQによる財閥解体と農地の大地主の分割されたという事を習ったと思います。

財閥解体の目的は諸説ありますが、結果として、富裕層と貧困層の格差を是正できた事が大きかったと思います

かつては世界屈指の経済大国だったアルゼンチンが冴えない国に落ちてしまった理由をオリガルキ存在が原因の一つと説明していたYoutube動画がありました。

【国際政治】アルゼンチンがお金持ちになれない理由 - YouTube

オリガルキとは財閥と意味合いが近く大地主や実業家の富裕層の事のようです。

そのオリガルキがクーデターを擁護したため、クーデターが何回も勃発したとの事です。

そのペロンだのクーデターだのという間に国は貧しくなってしまったそうです。

オリガルキぐらい大きくなった場合経済力はもちろんの事、国や政治・軍事にも大きな影響力を保持することになります

オリガルキ側の人間からすると今いるポジションを失いたくはないので、影響力を行使して今いるポジションを維持しようとします。

例えそれが、国としては損するような事でもオリガルキは自分の利益を優先しようとします

そういった動きは当然の動きで、自分の権力、資産が減らされることを望む人はいないと思います。

そのオリガルキ優先の動きがアルゼンチンではクーデターという形で現れただけで、自然の成り行きのように思います。

完全な自由競争

その期間日本は、格差のしがらみがない状態からでアルゼンチンでのオリガルキのような経済成長を「妨げる存在」が無かったことは大きかったと思います。

純粋に安くて質のいい製品・サービスを産み出した企業の勝ちという状況が出来たわけです。

財閥が解体された事で何も妨げるものがなくなり完全な自由競争が可能な状態になることで「頑張って成果を出す」という従業員、企業の高いモチベーションを維持できる事が可能となりました。

その結果、日本経済を豊かにして、高度経済成長ができたのではという事がここでの考えです。

あきらめるぐらいの格差

長い間国家の統治や平和が築かれているという事はそれを維持するために身分や格差が存在している事が多いです。

江戸時代でも士農工商などの身分制度があり、そのおかげで治安が維持できた部分も大きかったのではと思います。

身分制度があればどうあがいても身分を超えて富や名声、権力を得る事は不可能なので、いい意味での「あきらめ」が存在していたと思います。

その「あきらめ」があったからこそ、反乱や動乱、一揆が比較的少なく(ある事はあったので、少ないかどうかは賛否はありますが)済んだのではと思います。

戦国時代の豊臣秀吉のようにあきらめずに農民から天下をおさめるぐらいに駆け上がることができる下克上の人生も面白いかもしれないですが、治安という意味で大多数の人々の生活にとっては最悪だったと思います。

カースト制度

似たようにインドのカースト制度もその身分制度のおかげで数億人以上もの人口を長い間統治できる事が可能だったのではと思います。

しかし、そのカースト制度のせいで、自由競争という状況が作られず、結果としていい製品・サービスが作り出すことができなかったのではと推測します。

今ではカースト制度は法律でなくなっているとはいえ、とてつもない格差社会は依然としてあります。

インドに住んでいた時代に洗濯機を使った事がなかったのですが、インドでは洗濯機を購入して自分で洗濯するより、お手伝いさんに服を洗ってもらった方が安くつくぐらい人件費は安いです。

賃金の格差が洗濯機を購入しなくても不便と感じないので、洗濯機が売れない、洗濯機が売れないと作る企業も育たない。

企業が育たないと経済発展ができないといったように格差による人件費の安さが経済成長を妨げていた事になります

なので、今インドの学生になぜ日本は奇跡というほどの高度経済成長を成し遂げることができたのか?という問いをされた時は

インドと比べて妨げる物がなかったと回答できるかと思います。

その妨げるものとは絶対的な身分制度、格差社会による

・所得を上げようとする意欲へのあきらめ
・新しい製品・サービスに対する経済合理性の少なさ

がインドの場合の原因と返答できるかと思います。

失われた30年の原因

失われた30年と言われている1990年代からの日本は昭和で伸びた大手企業が前述でいうアルゼンチンのオリガルキのような存在になり、経済成長を妨げていったのではと思います。

自由競争を妨げる例ではコンビニ企業とプリンター機器企業の関係性があります。

セブンイレブンは富士ゼロックスと長い間の付き合いみたいなもの、悪く言えば癒着があるので、富士ゼロックス以外のプリンタの導入はしないです。

セブンイレブンの店舗の数だけ売り上げが確定しているという事は富士ゼロックスからすれば会社の業績にかなりの影響を及ぼします。

富士ゼロックスの製品の良い悪いというわけではなく、どういう製品を出そうがセブンイレブンの店舗には富士ゼロックスのプリンターが置かれることになります。

その結果、「頑張っていい製品を作る」事からはどうしても自然と離れてしまいます。

他の自由競争を妨げる事例ではガラケー問題があります

携帯電話市場でDocomoはDocomoでしか使えない携帯端末、KDDIでしか使えない携帯端末など囲い込み商売をしてしまっています。(いました?)

かつて日本の携帯電話技術は世界一とまで言われたものの、いわゆるガラパゴス携帯と呼ばれ自由競争の妨げになってしまい、日本の携帯産業は衰退を余儀なくされてしまいました。

これらの昭和の高度経済成長に伴って大きくなった企業がアルゼンチンのオリガルキのようになってしまい1990年代以降の経済成長の妨げになってしまったのではという一例です。

世界に通用するIT企業が生まれなかった

1990年代から経済を牽引する市場としてはIT市場、半導体市場、ネット市場がほとんどではないかと思います。

日本でもこれらの分野が経済を牽引して、多くのIT企業が上場しています。

しかしながら、一つも海外で通用するような企業にはならなかったです。

世界規模で通用しなかったという事は成功したとしても市場が日本だけにとどまってしまったということになります。

テスラーなどの電気自動車の会社でも設計の仕組みは走る携帯電話みたいなものと言われるぐらいなのでIT企業のサービスに近いくらいです

なぜ通用しなかったかは過去の記事で取り上げています。

日本のWEBサービス・アプリは海外で通用しないのか?その1

日本のWEBサービス・アプリは海外で通用しないのか?その2

働き者の日本人

高度経済成長を支えたのは日本人が勤勉でよく働く国民性が高度経済成長を支えたという論調が一般的なのかもしれないですが、ここではそうではないのではという説明をしていきます

企業間の競争で市場を確立する時期は勝てば市場を確立でき、長期的に企業が利益が出ることに対して負ければ、倒産の危機という状況になります。

そういう状況では必然的に企業も従業員も体力の限界まで働いて自由競争に勝つ事に集中します。

そうなることで日本人がよく働くワーカホリックと呼ばれるようになったのではと思います。

よく働いたらから、日本の高度経済成長が支えられたとよく言われていますが、今回の持論では「成果が出れば報われる」という状況が必然的によく働く日本人を作り出したので、むしろ「結果」なのではと思います。

どうすれば経済復興できるのか

この流れでいくと経済復興するには再度、財閥解体のように巨大企業を破壊して、自由競争を促進すれば経済がまた上向きになるのではという事になりそうです。

そこで、以前に記事にしたサラリーキャップを導入すれば所得の格差がなくなるので効果は大きいのではと思います。

サラリーキャップによるそれ以外の効果はこのページで詳しく記載しています。

しかし、サラリーキャップはあくまで個人の所得の格差を是正するものであって企業間の格差を是正するものではないです。

なので、ガラパゴス化による携帯産業の衰退などは防ぐことが難しいかと思います。

そして、どう財閥のような巨大企業を解体するのかを細かく設計するとなると難しいのではと思います。

そもそもどこまでの規模の企業が財閥なのかの定義からも難しそうです。

独占禁止法を強めてもいいかもしれませんが、それもなかなか難しそうです。

巨大企業は影響力があるので、その巨大企業の解体や地位を脅かす行為には是が非でも止めようと動きがあるかと思います。

今からTOYOTAを解体して、新しい中小企業で車の生産を一から始めるというのも非現実的でむしろGDPは下がる可能性がありそうです。

逆に中小企業に手厚い支援を政府からすればスタートアップなどの新規参入の会社が市場に入りやすくなるのでと思うかもしれません。

しかし、それも現時点で既に中小企業支援法などの法律があり、手厚すぎてしまうぐらいです。

中小企業に手厚すぎてゾンビ企業が年々増加しているくらいです

RIETI - 日本の中小企業部門の効率性について-ゾンビ企業仮説と企業規模の視点から

経済成長の妨げにならないように巨大企業を上手く解体して、ITサービスがグローバルに通用するような事が実現できればまた高い経済成長を実現できるとは思います。

しかしそれは高度経済成長期以上の「奇跡」が必要なのかもしれません

経済成長しなくてもいいじゃない

そもそも、欧米諸国も既に豊かになっているため経済成長は鈍化しています。

昭和の時代は洗濯機もなく手で服を洗ってた時に比べれば、今ではお風呂も自動でお湯を張ってくれるし、食べたい食べ物も食べられるし、好きな音楽もいつでもスマホで聞けます。

既に欲しいものが揃っているので、買うことがなくなり、その結果経済成長が鈍化しているかと思います。

なので、再び経済成長を目指して、「所得倍増計画だー!!」っていう考え方は無理があるのではと思います。

そういう所得のバロメータが成功のバロメータであるようなイデオロギーからは離れていくのではと思います。

インスタグラムのフォロワー数の数であったり、趣味のコミュニティが充実してたりなど幸せ、リア充の定義が画一的な所得で測る物差しではない風潮になってきていて、これからももっとそうなるかと思います。

起業が成功しない理由とも重なりますが、経済成長がバブル期以前のように戻ることもなければ平均賃金が上がることもないけども、悲観的になる必要もないのではとも思います。

市場が落ち着いてしまっているので、起業や新規事業が上手くいく確率は少なくなってきていますが、その分安定しているので、リモートワークなども含めた職場環境が良くなってきています。

市場が確立していない市場競争の真っ最中の時は死ぬまで働くかぐらいの勢いで働かないと市場から追い出されてしまいますが、市場が確立された中ではそこまで働かなくても企業は生存できます。

実際はそこまで生活苦でもないけども格差社会などで、相対的に貧乏になり意識的に貧困に陥る人が多くなると厄介かなと思います。

貧困を政府の責任、会社の責任にしてしまい、ヘイトで日本の治安が悪くなってより住みづらくなる事が懸念です。

頑張って勉強して、いい大学に入っても親より所得はもらえる可能性は低いという事実を知ってもらう必要があるのではと思います。

そして、幸せを見出すバロメータはお金ではないというイデオロギーにみんな変更する時が来たのかもしれません

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